BUSINESS CENTER / 特集 2003年5月号
【特別企画】企業に根付き始めたアウトソーシング パワードコムのデータセンターを見る
2003年3月24日
ドットコムの下支えからスタートしたデータセンター
企業ネットワークのブロードバンド化が進むとともに、最近、ますます重要度が高まっているのがデータセンターである。一時の「ドットコムバブル」と呼ばれた一過性のブームが過ぎ、最近ではデータセンターの重要性が広く認知されるようになった。今回はパワードコムのデータセンターを見学しつつ、企業のサーバアウトソーシングについて考えてみよう。
■ドットコムの下支えから
■スタートしたデータセンター
データセンターとは、顧客のサーバを預かるための設備やサービスを指す用語だ。簡単にいえば、会社にあるサーバルームを外部業者の建物内に敷設するといったイメージである。サーバは電力供給やセキュリティの高い堅牢なビルの中に置かれており、ユーザーは広域EthernetなどのWANサービスを介して、これらのサーバを利用することになる。
こうしたデータセンターが勃興したのは、今から4年前の1999年頃である。折しも、米国ではインターネットビジネスが「新しい経済」として大きな注目を集め、既存のビジネスを完全に置き換えるとまで考えられていた。データセンターはこうしたビジネスのインフラを提供する設備として登場した。その後、新興の事業者や古参の通信事業者・ISP、あるいはシステムインテグレータなどが次々に建設を行なった。現在では日本国内で約60の事業者がいるといわれている。
パワードコムのデータセンターもこうした流れを受けて2001年12月から開始されたものだ。現在では、同社の広域Ethernetサービス「Powered Ethernet」やIP-VPNサービス「Powered-IP MPLS」などとともに企業向けのネットワークソリューションを実現する重要な「部品」となっている。
■データセンターってこんなもの
こうしたデータセンターは機密性が非常に高いため、顧客以外が中に入る機会は少ない。しかし、今回はパワードコムのご厚意により、現在稼働中のデータセンターを見学することができた。
セキュリティ上場所は明かせないが、パワードコムのデータセンターは都内にある電力会社系のビルが使われている。建物は9階建てで、阪神淡路大震災級の地震に耐えうる耐震設計が施されているほか、三系統の電源、UPSや自家発電機などを備えている。もちろん、窒素系ガスによる消火設備や冗長構成の空冷システムなども用意されており、自然災害やテロなどへの対策は万全といえるだろう。
入り口で受付を済ますと、入館カードが手渡される。もちろん、名前や当日の訪問時間などは前もって登録しておかなければならない。
アウトソーシングに企業の目が向く
同行していただいたパワードコムの澤田勉氏(営業本部 iDCプロジェクトチーム 課長)が所持する入館カードで金属製の扉を何回も開け、データセンターとなっている部屋にたどり着く。入り口にはバイオメトリクス(掌型)による認証を行なう装置がある。パスワードは、そのパスワードを他人に知られてしまえば認証されてしまうが、指紋や目の虹彩、掌型のように各人で固有の生体情報を認証のキーとして使えば、安全性は高まる。しかもここでは入館カードと掌型の組み合わせで、認証を行ない、ドアが開かれる仕組みになっているので、セキュリティは非常に高い。
さて、部屋に入るとコンクリート製の部屋になっており、青いラックがずらりと並んでいる。さらに「ゲージ」と呼ばれる柵に囲まれたラックもある。ここに顧客のサーバが置かれている。
各ラックは監視カメラで24時間365日監視されており、しかも、ラックなどの扉開閉にあわせ録画も実施している。「ラックは基本的に登録された顧客しか開けることができませんので、セキュリティは高いです。ただし、サーバやルータなどのリブートなどの作業は、手順書を渡してもらえば、パワードコムの職員が行なうことも可能です」(澤田氏)とのことだ。
今回は、実際に現場に行くことで、非常に高いセキュリティを持っていることが体感できた。
■アウトソーシングに
■企業の目が向く
パワードコムでは、こうした堅牢なデータセンターをベースにさまざまなサービスを提供している。単に顧客のサーバを預かるラックを提供するハウジングのサービスだけではなく、Webサーバやメールサーバのシステム提供、ファイアウォールの運用管理、あるいは大容量のストレージの提供まで多種多様だ。もちろん、24時間365日体制でのサーバや機器の運用・管理も行なっている。つまり、今まで企業のサーバルームにあったサーバや機器をすべてデータセンターに置いて、「Powered Ethernet」のような広帯域なWANサービスを経由して利用できるのだ。
登場当初、データセンターは一般企業よりインターネットでビジネスを展開する業者のための設備であった。もちろん、こうした用途で利用する場合も多いが、最近では一般の企業がアウトソーシングの一環として利用するケースが増えている。澤田氏によると、「以前はデータセンターを使ってシステムを構築するシステムインテグレータさんがお客様になるケースが多かったのですが、最近ではエンドユーザーの情報システム部門からの直接の依頼が増えています」というのが昨今の顧客の傾向だ。
ドットコムバブルの崩壊とともに撤退した事業者もあるが、データセンターの数自体は今でもかなり多い。こうした中、データセンターの建設にかかった莫大な建設費用を早期に回収するため、ラックの安売りに走る業者も少なくない。しかし、パワードコムはこのデータセンターを顧客の数に応じて拡張し、この事業をゆっくり育てていくようだ。「うちのデータセンターは、本格的に立ち上がってまだ1年です。派手な宣伝よりも、やはり実績をどんどん積み重ねていくことしかありません」(澤田氏)とのことである。
管理・運用コストがかかり、セキュリティ面でも安心はできないというサーバの自社運用は、あまり正しい選択とはいえない。こうしたデータセンターを積極的に導入し、外部の専門業者を有効に活用することこそが、企業のブロードバンド導入を成功に導く方策といえるだろう。
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パワードコムでは、このデータセンターをベースにハウジングやファイアウォール管理など幅広いサービスを展開している |
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