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【OracleWorld 2002 Vol.4】2日目午前のキーノートスピーチ 〜 EMC Excecutive Chairman・Michael C. Ruettgers氏


2002年11月13日

IT産業の展望

 2日目の午前のキーノートスピーチは、EMCのExcecutive Chairman、Michael C. Ruettgers氏が行なった。Ruettgers氏は、まずIT産業の現状と今後の展望から語り始めた。最初に多くの人が抱いているであろう疑問である、「IT産業はもう以前のような爆発的な成長を実現することはないのだろうか」という点に言及し、次のキラーアプリケーションの候補として“Global Replay”を掲げた。

 “Global Replay”とは日本語にしにくい言葉だが、意味としては「さまざまな環境下で何が起こったのかを迅速かつ容易に再構築できるようにすること」だとされている。現在部分的に実現されているものとしては、クレジットカード取引、ビデオレンタルの履歴、株取引の履歴などが挙げられている。こうした部分的な情報をより広く集め、統合することで、こうした情報からより多くの価値を引き出せるようにする、ということだろう。



“Global Replay”を解説するプレゼンテーション資料のひとコマ。環境への即時対応などを挙げると同時に、現在このことが非常に重要であることを述べている

 情報が断片的であったり、必要とされる時点で確実に利用可能となっていないと価値がないという例として、氏はアフガニスタンで展開された軍事行動を挙げ、ラディンの所在を突き止めたという情報があったにもかかわらず、司令部に適切なタイミングで伝達されなかったために攻撃行動が取れず、みすみす取り逃がしたという話を紹介した。これは極端な例ではあるが、一般的なビジネスの場においても、必要なときに必要とされる情報を確実に得られるかどうかは成否を左右する重要な要因となることは間違いなく、IT産業は今後こうした需要に応えていくべく取り組むべきだということだ。

“Global Replay”の実現にはソフトによる自動化が重要としている
 一方、こうした高度な情報サービスを実現するためには、ソフトウェアによる自動化が重要な要素となる。というのも、情報システムのダウンタイムの発生原因の8割以上は人為的なミスであるという統計があるからだ。人間が間違いを犯す可能性を減らすのは困難なので、システムの運用管理に関わる人為的な要因を減らし、極力自動化を推進することが解決策となるということである。さらに、現在米国内で竜巻の被害が生じているというニュースにも言及し、自然災害の影響までも視野に入れた信頼性確保策が必要であることを述べた。

 EMCでは、ストレージ分野を中心にこうした高度な自動化の推進や信頼性確保のための機能を実現しつつあることも合わせて紹介されている。



安定した企業

“EMCとOracleの協力体制に関する資料
 また、Ruettgers氏はEMCとOracle、Dellといった企業の関係についても言及した。現在はIT業界全体が不況の影響を強く受けており、多くのテクノロジ企業が消滅の憂き目に遭っている状況だ。しかし、Oracle、EMC、Dellといった企業は財務的にも安定しており、ユーザーにとってはパートナーとして信頼するに足る安全な選択であるとアピールした。ちょうど初日のJeff Henley氏の基調講演のメッセージと呼応するかのような主張だが、現在のIT業界が新技術の発展によって急拡大するという状況にはなく、むしろ顧客からの強い圧力によってより低コストで効果的なシステムを提供することや、安定的に製品を提供することなどが求められていることを受けたメッセージだろう。

 華々しさには少々欠けるが、市場の実態を踏まえた現実的なメッセージ発信が目立つ今回のOracleWorldらしいキーノートスピーチであった。



(渡邉 利和(toshi-w@tt.rim.or.jp))





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