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韓国IT見学ツアーレポート(その3) 企業の明暗を分ける“里芋の法則”とは!?

Internet Auction CEO / 韓国インターネット企業協会会長 李今龍(リー・クムリョン)氏インタビュー


2001年9月8日

取り引き額は半年で200億円

Internet Auctionロゴ

韓国IT見学ツアーレポート(その3)では、韓国最大手のオークションサイト“Internet Auction”のCEOであり、韓国のインターネット企業320社が集う“韓国インターネット企業協会”会長でもある、リー・クムリョン氏に、韓国インターネットビジネスの現状と展望についておうかがいした。

Intenet Auctionは、51%が米e-bay出資、残りをKosdaqに上場する韓国最大級のオークションサイトだ。そこで行なわれる総取り引き額は、今年1月から6月までで約200億円。Internet Auctionはこの取り引きにおける仲介手数料やエスクローサービスを収益としている。さらに、CRMを活用し、1カ月前に化粧品を購入した女性にメールを送り、その意見を吸い上げて化粧品メーカーにフィードバックするといったマーケティング支援も行なう。

韓国インターネット企業協会は、設立から1年3カ月で380社が加入。加入費は20万円となっている。政府の規制やオンライン化に向けた法の提案に声を出せるというメリットもあり、現在も加入が増えているという。


李今龍(リー・クムリョン)氏インタビュー

リー・クムリョン氏
Internet Auction CEO / 韓国インターネット企業協会会長 李今龍(リー・クムリョン)氏

現在の韓国の電子商取引は、新しい局面に入っています。政府で発表している資料によりますと、2000年の電子商取引は、1999年と比べて約5倍の成長をとげ、2005年にかけて約年率50%の成長をするという予測となっています。

ここで気を付けねばいけないのが、マーケットサイズが大きくなるだけでは、B2C=ショッピングモールが儲かるわけではないという点です。たとえば、韓国では宅配事業も大きなマーケットを持っていますが、どの業者も儲かっていない状況です。私たちのようにオークションで1位を走っている企業もありますが、B2Cは競争が激しいのです。これからの展望としては、MRO(Maintenance, Repair and Operations ― 間接材など、経費や間接費で購入する品々)を中心として伸びる企業が出てくると思います。

それでは次に、韓国の電子商取引の特徴をお話します。まずポジティブな面ですが、韓国には2200万人のインターネット人口と、約625万世帯のADSL加入世帯が存在しています。私どもが運営しているInternet Auctionも、(回線速度的に)モデム経由ではよくご覧になれないコンテンツであり、今日のようにブロードバンドが普及していなければ存続できなかったでしょう。弊社の上半期の売り上げは約200億円です。こうした売り上げを得るには、1日約2万件の売買が行われなければならず、それにはやはりADSLが不可欠な要素なのです。

以上が韓国インターネットのよい面です。これからも韓国インターネットは変わり続けなければならないと思います。

(ネガティブな面としては)まず、B2Cの内容があります。インターネット人口の74%が20代から30代に集中しているので、B2Cで売れる商品というのが、コンピュータ、家電、書籍に偏っているのです。インターネットにおける購買層の70%は男性で、実際に購買力を持つ女性の割合が少ない点も挙げられるでしょう。

また、韓国の流通では、大企業/財閥が利用している代理店と既存の代理店との摩擦が生じています。ほかにも、現代自動車の例があります。現代自動車は未だにショッピングモールがありません。オンライン販売をしたくても、セールスの労働組合が反対しているからです。ただ、代理店間の摩擦については、既存のオフラインの代理店は流通を担当し、オンラインは注文を受けるという、サムスン電子が採用しているハイブリッドのモデルも出現しています。そして、これからはすべてオンライン化しないといけない、ということはみんなが認識しているところです。

(編集部)


韓国政府は売買インフラ構築を促進中

では次に、韓国インターネットの展望についてお話ししたいと思います。

韓国政府は、B2B/マーケットプレイスに関して積極的な政策を打ち出しています。Internet Auctionの中には、政府が調達する製品を代理購買しているところもあるのですが、そうしたところが盛んに活用されています。政府にしても、汚職もなくなるし納品価格が15パーセントほど安くなるので、こうしたシステムを認めつつあるのです。

また、石油や科学の“バーティカル”マーケットプレイスについても、時間はかかるが安定させて定着させようと、政府が動いています。

韓国政府は現在、中小企業連盟や情報通信部と共同して、約100万の小型企業に対して売買のインフラを設けるというプランを立てています。

規模の小さい会社では、オンライン化のいいところを分かっていなかったのが現状だったのですが、今は大手ではなくてもオンライン化を行なうべきだと認識されています。

たとえば、私たちのオークションでヒットしているのは、ソウル近郊で生産されている里芋です。里芋を3キロ約840円くらいで、送料を含めて売って、1日約2000件の受注があるそうです。つまり私がいいたいのは、韓国の農村ではすでにB2Cによって、商品がどこに売られてどこで需要が高いのかを認識しているし、現金もすぐに手に入るため、オンラインの良さが認識されているということなのです。

私たちInternet Auctionは最近、中小企業を支援している銀行と提携をして、優秀な製品を扱う中小企業と販売代理の契約を結んでいます。

今後、625万世帯のADSLに対応した製品がもっと出てきて、政府が進めているB2B、マーケットプレイスの政策が効果を発揮し、我々のようなマーケットプレイスの会社が増えれば、韓国はもっと発展するでしょう。

ひとつの事例を申し上げて、私の話を終わりにしたいと思います。皆さんご存じだとは思いますが、今年7月、Dell Computer(以下DELL)が第1位のコンピュータメーカーになりました。これは、不景気だからこそ現われる現象です。競争力のある会社しか生き残れないという事実を見せていることだと思います。そしてこうした事態は、我々のようにインターネットでB2Cを行なっている企業では、すでに予測されていたことなのです。つまり、現在世界の経済は、“プッシュ型”の競争から“プル型”の競争に変わってきているのです。

大方のコンピューターメーカーは、“1年後多分流行するだろう”というものを企画生産し、それを販売代理店がマーケティングするシステムです。DELLの場合は、Webによって受注し、ある程度受注が溜まったら、そのお金を集めて製産に入り、製産したらすぐに発送するというシステムです。顧客をプルして先導していく企業と、自分の製品を顧客にプッシュする企業があるわけですが、これからのインターネットビジネスはプル型に変わっていくでしょう。

不景気になったときに、プッシュ型ではコンピュータが売れないのに在庫が増えてしまう。販売代理店へのマージンも減らさねばならない。DELLの場合はそれがなかったわけです。インターネットはどんどんプル型になるでしょう。デジタル産業は、顧客をプルして行なう産業であって、既存の自分の製品を押しつけるプッシュ型は生き残れないわけです。

先ほど里芋の話をしましたが、最初から箱に里芋を詰めて防腐剤を入れ、さらにお金のかかる倉庫にしまっておくのか、注文が入ってから新鮮な里芋を配送するのか? ということです。私の考えでは、これからの経済は、プル型のビジネスを無視できないと思います。プル型のビジネスモデルでは、CRMを通して顧客の性質を分析し、顧客との関係をよいものにできるというメリットがあります。

結論なのですが、私はCRMにより、どの地域に、そしてどの年齢に売れていくのかという点をしっかり把握した、デジタル産業、プル型産業ではないと生き残れないと思っています。


リー氏が里芋を例にとって出した“プッシュ型 vs プル型”の理論は、ここまで明確ではないにせよ、机上では常々語られてきた話かもしれない。しかし、B2Cが発展した国でビジネスを行なうリー氏の言葉には、実践的なバックボーンを感じさせる強い説得力があった。

(編集部)




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