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“日本のメディア芸術100選”が選出――“太陽の塔”“やわらか戦車”など


2006年10月4日

文化庁と(財)画像情報教育振興協会(CG-ARTS協会)は3日、“文化庁メディア芸術祭”10周年を記念した表彰“日本のメディア芸術100選”を発表した。アート部門には1970年の大阪万博を飾った“太陽の塔”(岡本太郎、敬称略)、エンターテインメント部門では“やわらか戦車”(ラレコ)、アニメーション部門には“新世紀エヴァンゲリオン”(庵野秀明)、マンガ部門では“スラムダンク”(井上雄彦)がそれぞれトップに輝いた。

“日本のメディア芸術100選”は、文化庁とCG-ARTS協会が毎年開催している“文化庁メディア芸術祭”の開催10周年を記念し、1950年代から現在に至るまでの日本を代表するメディア芸術作品を、あらかじめ用意された作品リストの中から選択するアンケート形式で選定されるもの。投票期間は今年7月13日から8月31日まで。

アンケートは一般参加者の場合、ウェブサイト“文化庁メディア芸術プラザ”(http://plaza.bunka.go.jp/)内に“文化庁メディア芸術祭10周年アンケート日本のメディア芸術100選”コーナーを設置し、アート/エンターテインメント/アニメーション/マンガの4部門にそれぞれ回答する“Webアンケート・エントリー方式”を採用。さらに、メディア芸術に関わる専門家(文化庁メディア芸術祭歴代受賞者・同歴代審査員を含むアーティスト・編集者・評論家の方など)約400名にも別途アンケート票を郵送し、回答後、同じく郵送(またはFAX)にて回収する“郵送法”を併せて実施している。

期間中に、延べ3万3884名(一般参加者が延べ3万3698名/専門家が延べ186名)から20万9284票(有効回答のみ)におよぶ投票があった。その結果、4部門で各25作品、合計100作品が“日本のメディア芸術100選”として選ばれた。なお、ウェブサイト“文化庁メディア芸術プラザ”では100選のほかに、専門家による“あの人の10選”や部門別、年代別の支持傾向や作品リストを公表している。

●各部門の傾向を考察

【アート部門】
1位:“太陽の塔”/岡本太郎
得票総数:4565票
“太陽の塔”岡本太郎
“太陽の塔”岡本太郎

“太陽の塔”は、1970年(昭和45年)に大阪で開催された日本万国博覧会(EXPO'70・大阪万博)のシンボルとして建造された故・岡本氏の代表的な作品のひとつ。万博終了後は万博記念公園に残され、“大阪の顔”として今もなお人々に親しまれている。岡本氏では、最近のTV番組などでクローズアップされた作品“明日の神話”にも注目が集まり、自由記入欄でも最も多く得票している。

2位以降には、“明和電機ライブパフォーマンス”や“魚器シリーズ”が選出されたアート集団・明和電機、“視聴覚交換マシン”やプロジェクトが進行中の“オープンスカイ”が選出された八谷和彦(“Post Pet”の作者としても知られる)など、現在活躍中のメディア・アーティストが名を連ねたが、昭和の大物芸術家には及ばなかった。

【エンターテインメント部門】
1位:“やわらか戦車”/ラレコ
得票総数:4万5337票
やわらか戦車
“やわらか戦車”(C)ラレコ/ネトアニ

“やわらか戦車”は、ポータルサイト“livedoorネットアニメ”上で公開されたFlashアニメーション。戦車なのに柔らかくて弱く、“撤退”が信条という設定の“やわらか戦車”が歌ってしゃべる映像はかわいらしく、ブログなどの口コミで急速に人気が高まった点でも話題を呼んでいる。すでにキャラクターグッズ展開も始まっており、今後さらなる人気を獲得しそうだ。

しかし、ゲームやCMなどがほとんどのエンターテイメント部門にあって同作品だけが異質な存在となっており、Flashアニメを使ったTVアニメが出始めている現状においては、同作品がアニメーション部門ではなくエンターテイメント部門に選出されたことについては疑問が残る。また、今のゲーム業界にも強い影響力を与えている“スーパーマリオブラザーズ”(任天堂)が3位に押さえられたのは、単に“時代の趨勢”と片付けられるのだろうか?

【アニメーション部門】
1位:“新世紀エヴァンゲリオン”/庵野秀明
得票総数:8万402票
新世紀エヴァンゲリオン
“新世紀エヴァンゲリオン”(C)GAINAX・カラー/Project Eva.

“新世紀エヴァンゲリオン”は、人類補完計画などの伏線を散りばめたストーリー、生物学から宗教学まで専門用語を多用したディテール、キャラクターの心理を克明に描く高い表現力などがあいまって、それまでTVアニメに馴染みがなかった世代を含む幅広い層の支持を得るなど、社会現象とも言える人気を生み出した作品。

2位には宮崎 駿(みやざきはやお)の“風の谷のナウシカ”が入り、師弟対決では庵野氏に軍配が上がったかに見えるが、3位にも“天空の城ラピュタ”、5位に“ルパン三世 カリオストロの城”、8位に“となりのトトロ”と、宮崎作品が合計7タイトルも上位に選出されており、この部門の実質的なトップクリエイターは宮崎氏と評しても差し支えないだろう。

また、“機動戦士ガンダム”“攻殻機動隊”“鋼の錬金術師”“機動警察パトレイバー”といったシリーズ作品も複数が選出された。自由記入欄で1位となった“涼宮ハルヒの憂鬱”(石原立也)は、多くの票を集めて総合22位に食い込んでいる。

【マンガ部門】
1位:『スラムダンク』/井上雄彦
得票総数:7万8980票
スラムダンク
“スラムダンク”著・井上雄彦“SLAMDUNK”集英社ジャンプコミックス

“スラムダンク”は、高校生のバスケットボールを題材にした超人気作品。主人公らの“バスケットへの愛”と名脇役の存在感が、丁寧で迫力のある絵を通じて読者をぐいぐい引き込む。コミックスが1億冊を突破記念にと、全国紙朝刊に一面広告を出したことでも話題になった。次いで“ジョジョの奇妙な冒険”(荒木飛呂彦)、“ドラゴンボール”(鳥山明)と、上位3位を集英社陣が独占したのは印象的だ。

上位作品を見て行くと、ほとんどが少年誌の作品。14位でようやく“のだめカンタービレ”(二ノ宮知子)が出てくる程度で、あまり少女誌/女性誌の作品には目が向けられていないようだ。そうした中で、“ハチミツとクローバー”(羽海野チカ)が自由記入欄で1位を獲得することでクローズアップされたが、対照的に“NANA”(矢沢あい)は50位に終わった。


今回の結果を受けて、2007年に東京・乃木坂にオープン予定の国立新美術館において、2007年1月21日から“文化庁メディア芸術祭10周年企画展 日本の表現力(仮称)”を開催し、100選として選ばれた作品が展示・紹介される。

“文化庁メディア芸術祭10周年企画展 日本の表現力(仮称)”では、時代やジャンルを超え、“メディア・スコープ100(※1)”“ヒストリー・スコープ(※2)”“フューチャー・スコープ(※3)”の3つのエリアの相乗効果により“メディア芸術”の全貌を伝える。「見たかった、知らなかった、わかった」という満足感と、「こんな文脈で見ると新鮮、最先端の体験ができた」という刺激を来場者が持ち帰ることができる企画展を目指す。

※ メディア・スコープ100 日本のメディア芸術のパースペクティブ、1950年代から現代まで3万5千人の投票によって選ばれた“日本のメディア芸術100選”。アート、エンターテインメント、アニメーション、マンガをジャンル横断型で体験できる展示エリア。

※ ヒストリー・スコープ(テーマ展示1) 江戸から縄文までさかのぼり、日本のメディア芸術にいたる想像力の源流を探る。日本のメディア芸術の源流を探るエリア。

※ フューチャー・スコープ(テーマ展示2) メディアを駆使した創造力の未来を見通すためのリファレンス。最新の作品を一堂に展示することで未来への展望を行なう。

(千葉英寿)





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