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【2003 JavaOne Conference Vol.2】Javaロードマップの鍵は“EoD”の実現!


2003年6月11日

初日午後には技術面に焦点を当て、Javaプラットフォームのロードマップなどを紹介する恒例のセッションが開催された。

“General Session”の2本目は、例年“Technical Keynote”と呼ばれていたものがいつも通りのスタイルで開催された。他の基調講演が主に企業からJava開発者に向けたメッセージという色彩が強いのに対して、この講演だけは例年開発者のための情報提供というスタイルを続けている。今年もいつもの通り、Javaプラットフォームの拡張/開発の経過報告を中核に、現状の問題点に対する解決案がまとめて提示される場となった。

登場したのは例年通り米Sun Microsystems(以下、Sun)のVice President and FellowであるGraham Hamilton氏とDistinguished Engineer and Chief Technology Officer, Consumer Mobile Systems GroupのTim Lindholm氏の両名で、Hamilton氏が『J2SE(Java 2 Platform, Standard Edition)』と『J2EE(Java 2 Platform, Enterprise Edition)』を、Lindholm氏が『J2ME(Java 2 Platform, Micro Edition)』をカバーした。

Tim Lindholm氏
Distinguished Engineer and Chief Technology Officer, Consumer Mobile Systems GroupのTim Lindholm氏
Graham Hamilton氏
Vice President and FellowのGraham Hamilton氏

では発表資料をもとに、Javaプラットフォームの今後のロードマップを簡単に紹介しておこう。まず、Javaの現状に対する認識として、初期の先端ユーザーが採用する段階が過ぎて、現在は広く一般に利用される時期に入っているとされた。『J2ME』は携帯電話をはじめとする各種軽量端末で利用されているし、『J2EE』は企業のミッションクリティカルアプリケーションを支えるインフラとして、ほぼデファクトスタンダードと言えるレベルに成長している。そこで、より一層の開発支援のために、現在では機能拡張よりもむしろ開発を容易にし、複雑さを軽減することが求められてきている。このことを、簡単に“EoD(Ease-of-Development)”と表現した。さまざまなレベルでの“EoD”の実現が、今後のJavaのロードマップの鍵となる。

“EoD”実現の主役は、2005年に登場予定の『J2SE 1.5(コードネーム Tiger)』である。Tigerは1995年のJava登場以来最初の大幅な言語レベルのアップデートとなる予定だ。ここでは、MetadataやGenericsといった機能を含むようにJava言語が拡張される。これらは、プログラマーが記述すべきコード量を減らし、型チェックを処理系に任せることで型指定の手間を省いたりエラーチェックが確実に行なえるようにするといった機能を実現する。また、C/C++流の柔軟な出力書式指定を可能にするprintfの提供も、プログラマーには歓迎されるだろう。

Metadataに関する説明のスライド
Metadataに関する説明のスライド。残念ながら筆者はプログラマーではなく、この機能の意味も判然とはしないのだが、会場の反応を見る限り、望まれていた機能であるのは間違いないようだ
Generics
この機能は、“Javaの父”James Gosling氏の懸案事項で、昨年のJavaOneで既に導入がアナウンスされていたもの
printfの説明
printfの説明。C言語を知っている人にはおなじみの標準ライブラリー関数だ
そのほかの機能拡張計画の概要
そのほかの機能拡張計画の概要

『J2EE』では、開発を煩雑化する要因ともなっているDeployment DescriptorをMetadataを利用してまとめてしまう機能や、サーバーサイドプログラムのためのGUI機能であるJava Server Faceの仕様確定、“EJB 3.0”“JDBC 4.0”“JAXB 2.0”“JAX-RPC 2.0”などが、『J2SE』と同じく『J2EE 1.5』リリースを目標に整備されているところだ。

また、スクリプト言語の整備もテーマとして浮上しているようだ。Java系のスクリプト言語としてはJavaScriptがよく知られているが、実際にはJavaScriptは文法をJavaに似せてあると言うだけで、Java実行環境を利用しているわけではなく、Javaとはまったく無関係というべき存在である。しかし、簡便な開発の用途ではスクリプト言語の需要が根強いため、Javaコミュニティーが正式にスクリプト言語の整備に取り組む意向を固めたようだ。まだ詳細は明らかになっていないようだが、“Scripting languages are our friends!”と宣言され、今後はJavaとスクリプト言語の組み合わせが積極的にサポートされるもようだ。具体的な言語に関しては、さまざまなスクリプト言語をサポートするとする一方、最も親和性の高いスクリプト言語としてPHPが挙げられた。

次に、『J2ME』ではMIDPの拡充とJTWI(Java Technology for the Wireless Industory)の整備が主要テーマである。また、『J2ME』と『J2EE』を組み合わせて利用する、“Mobile Enterprise”という概念も提唱された。これは、アクセス端末として『J2ME』デバイスを使い、『J2EE』環境で用意されたサーバ側のアプリケーションを利用するというもので、ここまでまったく別個の存在として進化してきた『J2ME』と『J2EE』が、実は密接に関連し合う同じJavaファミリーの一員である、という強いメッセージである。

End-to-End(端から端まで)のJava環境が提供される
サーバーサイドでJ2EEを使ってパーソナライズ等を含む高度なコンテンツを実現し、それを「どこにでも(Everywhere)存在する」J2MEデバイス等に配信することで、End-to-End(端から端まで)のJava環境が提供されることになる
J2SEのロードマップ
『J2SE』のロードマップ。大幅な言語仕様の拡張が行なわれ、開発を容易にするための機能を大胆に取り込む予定のTigerリリース(『J2SE 1.5』)は、2004年中に投入予定である
J2EEもJ2SEに歩調を合わせて1.5でEoDの実現に向けて大きく転換するが、現時点はまだ仕様検討段階
『J2EE』も『J2SE』に歩調を合わせて1.5でEoDの実現に向けて大きく転換するが、現時点はまだ仕様検討段階であり、投入時期は明確にはなっていない
J2MEのロードマップ
『J2ME』のロードマップ。ここで取り上げられているのは、PDA等比較的機能が豊富で強力な端末での利用を想定したJ2ME環境の予定。携帯電話に代表される、利用可能なリソースが限定されたワイヤレス端末向けには、JTWIが対応する
JTIWのロードマップ
JTIWのロードマップ。米国やヨーロッパでの携帯電話の高機能化を受け、急ピッチで整備が行なわれる。日本で展開しているJava対応携帯電話のサービスも、JTWIの影響を受けて多少の仕様変更や機能拡張が行なわれる可能性があるだろう

なお、この講演中は、“JavaOne”がまさに「開発者のための場」であることを端的に示すような熱気に包まれていた。printfの導入などが発表されると会場から拍手と歓声が上がり、待ち望まれていた機能が実現された喜びが素直に表現されていた。ニュースに乏しく、目玉がないと言われていた今年のJavaOneだが、原点に戻って開発者に正面から向きあっているという印象を強く受けた。現場の開発者にとっては、今年の“JavaOne”は例年以上に収穫の多いものと評価されるのは間違いなさそうだ。

(渡邉利和)





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