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マイクロソフト、『Windows Media 9 Series』のテクニカルプレスセミナーを開催


2002年10月11日

マイクロソフト(株)は9日、同社の次世代デジタルメディアプラットフォームである『Windows Media 9 Series』(以下WM9)のプレス向けテクニカルセミナーを開催した。今回のセミナーは、9月4日に米国で発表されたWM9のβ版に基づく技術情報説明会で、再生テクノロジー全般に関する技術説明と、コンテンツ配信や制作に関する技術説明の2部構成で行なわれた。


“Corona”製品群のシリーズ名称『Windows Media 9 Series』のロゴマーク

WM9は、“Corona”という開発コードネームで呼ばれていたマイクロソフトの次期Windows Mediaテクノロジーの総称で、Windows Media Audio/Video(コーデック)、Windows Media Player(プレーヤー)、Windows Media Encoder(エンコーダー、制作環境)、Windows Media Service(Windows Media配信サービス)、Windows Media DRM(著作権保護、暗号化技術)、Windows Media SDK(開発環境)からなる。これまで、Audio/VideoとPlayerは7およびXP、Serviceは4.1といったようにバージョン番号がばらばらとなっていたのだが、今回のメジャーバージョンアップを機にブランドの統一が図られ、バージョン番号はいずれのコンポーネントも“9”となる。


ニューメディア&デジタルデバイス本部マーケティング部長、御代茂樹氏

セミナーの冒頭に壇上に立ったニューメディア&デジタルデバイス本部(※1)マーケティング部長の御代茂樹氏からは、加速度的に世帯普及が進むブロードバンドインターネットの現状や動画コンテンツ利用者が1500万人を超えたこと、多岐に渡る非パソコンの情報端末の登場やワイヤレス通信技術の向上、さらに著作権者を守るコンテンツ流通の必要性などから、WM9に新しいビジネスへの発展性や将来性が求められていることが説明された。

※1 日本法人独自の組織で、次世代デバイスやインターネット関連サービスへの対応を担当。Windows Mediaのほか、Tablet PCやWindows CE .NET、PocketPCなどが担当製品


ニューメディア&デジタルデバイス本部マーケティング部シニア・プロダクトマネージャー、河野万邦氏

『Windows Media Player 9』
続いてプレゼンテーションを行なったシニア・プロダクトマネージャーの河野万邦氏は、Windows Media Player 9やコーデック部分であるWindows Media Video 9/Audio 9といった再生技術全般に関する説明を行なったが、この冒頭では9月4日に米国で開催されたラウンチイベントの報告も行なわれた。同イベントではBill Gate氏の基調講演が行なわれ、映画、音楽業界の著名人や27社に及ぶパートナー企業が参加するなど、大規模なイベントになったといい、「膨大な人的リソースと500億円に達する開発費を使った」(河野氏)というWM9への同社の力の入れ様がうかがえる。

マイクロソフトはWM9のターゲットとして、コンシューマー、エンタープライズ、コンテンツ・プロバイダーを挙げている。コンシューマーに対しては、

  • “ファストストリーミング”技術によるストレスのないオーディオ/ビデオの配信
  • CD、DVD、ネットラジオ/TVのオールインワン再生環境
  • メディア整理の自動化やDJ風機能を持つ“スマートジュークボックス”による再生時の利便性追及
  • 音楽CD作成のためのリッピングに適した“Windows Media Audio Lossless”コーデック(※2)や強力なCDライティング機能
  • 柔軟なオーディオ再生のオプション機能

を提供するとしている。エンタープライズでの用途としては、イントラネット上で音声や動画によるメッセージ配信や、社内トレーニングコンテンツの配信、社内TV放送やIR活動などへの応用を考えており、マルチキャストによる帯域節減、配信サーバー側で設定するプレイリスト、ファストストリーミングといった技術がここでも生かされるとしている。コンテンツ・プロバイダーには、より低容量で高品質な映像・音声が提供できることを生かしたコンテンツ配信や、“HTML View”やサーバーサイドプレイリストによるフレキシブルな広告配信、HD品質の映像(Windows Media Video 9 Proを使用)と5.1チャンネルサウンド(Windows Media Audio 9 Proを使用)に対応したことによるデジタルシネマ配信(BMW Filmsでは、WM9による劇場への映像配信を行なうという)などが可能となるとしている。実際にWM9によるHD映像+5.1チャンネル音声(ビットレートは4Mbps)によるムービーのデモが行なわれたが、ハイビジョン対応プラズマディスプレーと6本のスピーカーを使用したサウンドシステムでの映像と音の迫力は圧巻。DVD-Video相当の映像であれば1〜1.5Mbpsで配信可能とのことだ。

※2 非可逆圧縮のWindows Media Audioとは別のコーデックで、こちらは可逆圧縮。


ニューメディア&デジタルデバイス本部、本島晶幸氏

『Windows Media Encoder 9』
本島晶幸氏がプレゼンテーションを行なった第2部では、Windows Media Encoder 9およびWindows Media Service 9を中心としたコンテンツ制作や配信に関する説明が行なわれた。Windows Media Encorderは、Windows Media Video/Audio 9で新たに追加された機能群を完全にコントロール可能な制作環境で、多彩なエンコーディングモードに対応し、インターレース素材やDVなどでよく用いられる1:1以外のアスペクト比の映像、オーディオトラックの複数トラック(多重放送)化、などをサポートする。また、Windows Mediaサーバーや一般的なウェブサーバー、ポータブルデバイス、ダウンロード用データ、CDやDVDなどのディスクメディアといった、多種多様な“コンテンツの出力先”に柔軟に対応し、セキュアーなライブ中継や著作権保護を目的とした暗号化技術も搭載する。マルチビットレートのサポートにも手が加えられ、従来は映像部分のみのマルチビットレート化だったものが、今バージョンでは音声部分のマルチビットレート化が可能になり、映像については、解像度切り替えによるマルチビットレート化もサポートしている。

WM9の大きなトピックとして、DVDやハイビジョン放送に匹敵する映像と音声を低容量で実現するというものがあるが、Windows Media Encoder 9には、これらのハイスペックな動画を作成する機能が豊富に用意されている。特に、映像ソースとして、HD(High-Definition)フォーマット、D-5やHDCAM、DVCPro-HDで撮影した映像素材、高解像度AVIファイルなどのサポートは、ブロードバンドインターネットによるコンシューマー向けの映像配信のみならず、映画館などへの映像配給も可能だというWM9のパワーを物語るところでもある。



『Windows Media Service 9』
Windows Media Service 9は、『Windows .NET Server 2003』上で動作するWindows Mediaコンテンツの配信サービスで、.NET ServerのStanderd、Enterprise、Datacenterバージョンに搭載される。Windows Media Service 9により、ユーザーがアクセスすると即座にストリーミング再生が開始される“ファストストリーミング”や、サーバーサイドプレイリストなどといったWM9の目玉機能が提供される。また、パフォーマンスも従来バージョンから大きく改善されており、22kbpsのWindows Media Audioのストリームでは1万1500セッション、300kbpsのWindows Media Videoストリームでは1800セッション、700kbpsのWindows Media Videoストリームでは700セッションのアクセスに耐えるという。これは従来バージョンの1.8〜2倍程度の数値とのことだ。


気になるWM9の正式リリース時期だが、現在のところ最終β版を目指した作業が進行中とのことで、正確な日程はまだ発表とならなかった。現在の目標としては、英語版、日本語版ともに年内をめどにリリースするとのことだが、日本語版は英語版よりやや遅れての登場になりそうだという。なお、Windows Media Service 9に関しては、.NET Server 2003と同時リリースになる予定だ。



(編集部 内田泰仁)





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