コラム / トレンドウォッチ
JavaOneレポート(その1)
〜実用期を迎え、技術色が薄れたDeveloper's Conference
渡邉 利和(toshi-w@tt.rim.or.jp) [著]
2001年6月5日
2本立てになった基調講演
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会場入り口。会場となったSan FranciscoのMoscone Centerは主要施設が地下にあるため、地上からはほとんどようすがわからない。 |
今年も、San FranciscoでJavaOneが開催されている。今年で6回目になるJavaOneは、米国での急激なJava開発者の増加を反映して年々規模が大きくなってきている。かつてはJavaに関する大きな発表が行なわれることが多かったJavaOneだが、すでに基本的な技術は出そろい、業界の関心は製品への応用へとシフトしている。新しい技術に関する発表が飛び出すというよりも、「この製品にもJavaが組み込まれています」といった話ばかりが聞こえてくるようになり、雰囲気も変わってきている。
変化を如実に表わしているのが、初日の基調講演が午前と午後の2本に分かれ、開幕を告げる最初の基調講演である午前の部では技術的な話がほとんど聞かれず、携帯電話やゲーム機(PlayStation 2)などへJavaを組み込んだ話が中心であった点だ。
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John Gage氏の「Javaプログラマの方はお立ちください」という求めに応じてすかさず立ち上がったJavaのオリジナルの開発者であるJames Gosling氏。こういうノリは健在だが、それでも以前に比べてプログラマ以外の参加者が増えているように感じた。 |
一方、“Technical Keynote”と題された午後の部では、今後予定されている新バージョンのリリーススケジュールや新パッケージの紹介など、従来であれば初日の最初の基調講演でニュースとして発表されていたような話題がまとめて扱われ、技術中心のカンファレンスではなくなったことを象徴しているような構成であった。  |
Java対応デバイスとして、PlayStation 2が紹介された。 |
米国ではともかく、すでにiアプリのサービスが始まっている日本からの来場者にとっては、「携帯電話にJavaが組み込まれた」というのは特に新鮮みを感じない話であるが、米国では関心の高いテーマであるようだ。また、PlayStation 2にJavaが組み込まれることも午前の基調講演で紹介された。デモを見る限り、PlayStation 2用のLinuxの上にJavaの実行環境を載せてあるようで、実際にどのような形でリリースされるのかといった詳細については触れられなかったが、米国でも人気のゲーム機であるだけに来場者の関心も高かったようだ。デモでは、携帯電話上のアプリケーションとの間で簡単なメッセージを交換する、というアプリケーションを見せていた。機種を問わず同じアプリケーションが利用できる可能性があるため、ハードウェアの性能を限界まで引き出すような用途でなければ結構便利に使えるかもしれない。
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PlayStation 2上でのJavaアプリケーションのデモ。Linux環境上にJava実行環境を作り、その上でJavaアプリケーションが動作している。これは、チャットアプリケーション。 |
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PlayStation 2との通信相手として、携帯電話が使われた。デバイスを選ばず実行できるJavaアプリケーションの強みである。 |
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携帯電話からメッセージが届いたところ。PlayStation 2では新しいウィンドウがポップアップして知らせる |
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基調講演で紹介されたJava対応デバイスの数々。この分野では日本のメーカーが先行していることがよく分かる |
一方、午後の基調講演で紹介された別のデモでは、Motorolaの携帯電話を使って映画のチケットの予約を行なうようすを見せていた。こちらは、携帯電話の画面上で映画のタイトルを選択するとプレビューが見られ、上映開始時間を選択し、さらに劇場の座席配置図が表示されて好きな席を予約することができる、というものだ。Webサービスとして実現するものであり、基本的にはJava以外の環境を利用しても実現可能なものではあるが、Javaを利用することでサーバからクライアントまで一貫した環境を作れるほか、異なるデバイスでも利用可能なアプリケーションにすることもできるというメリットが得られる。デモでは、携帯電話に続いてPalm(Visor)上で同じアプリケーションを実行していたが、座席の配置図は画面が広くなった分見やすく表示され、しかもペンタッチで座席を指定できるなど、デバイスの特性に応じて使い勝手が向上している点が印象的だった。  |

J-PHONEのJava対応電話機も披露された。画面は、カラーのアニメーションがスムーズに動作するようすを見せているもの |
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Motorolaの携帯電話機を利用した映画チケット購入アプリケーションのデモ |
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IDやパスワードを入力して認証を行なう。郵便番号(Zip Code)を入れて場所を特定する |
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映画を見たい日付を入力する |
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映画のタイトルを選択する |
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ストリーミングでプレビューが見られる |
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上映開始時間を選ぶ |
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映画館の座席配置図から、予約したい席を選ぶ |
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このアプリケーションをPalm機(Visor)で実行すると、座席配置図が大きくカラーで表示され、使い勝手が向上する。機種を選ばず動作するJavaの特性とデバイスの種類ごとに作成されたプロファイルとの組み合わせでこうした機能が実現されている |
渡邉 利和(toshi-w@tt.rim.or.jp) [著]
発表された新技術
午後のTechnical Keynoteでは、今後リリースが予定されている新技術に関する説明も行なわれた。主なものは、“JavaServer Faces”、“JAX Pack”、“WebService Pack”の3つである。
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JavaServer Facesの概念図。ひっきりなしにパケットが行き来することになりそうな点がちょっと気になるが、ビジュアルでインタラクティブなWebインターフェイスを使ってサービスを実現したい場合には、面白い選択肢となりそうだ |
JavaServer Facesは、サーバサイドのGUIアプリケーションを実現する技術だ。GUIベースの開発ツールを使ってビジュアルにGUIアプリケーションを作成できるのはもちろん、実行時にもクライアント(Webブラウザ)とサーバ間でイベント情報をやりとりし、リアルタイムで画面更新を行なう点が特徴となる。
たとえばフォームのやりとりなどで、数字しか入力できないフィールドに文字を入れてしまったような場合、従来はフォームを送信したあとでエラーが判明し、再入力を求められる、といった処理になる。これがJavaServer Facesを利用すると、Webブラウザ上の入力フィールドにタイプした段階でサーバにイベントが送信されるため、その場で入力ミスのチェックなどが可能になる。
JavaScriptなど、Webブラウザ上のスクリプト言語を利用しても同様の仕組みを実現することは可能だと思われるが、JavaServer Facesを利用するとクライアントの種類を選ばないし、ビジュアルな開発環境を利用できることでコーディングの手間を大幅に削減できる点がメリットとなるだろう。
JAX Packは、今後リリースが予定されているXML関連APIをまとめてパッケージ化したものだ。JavaからXMLドキュメントを扱うためのAPIが今後次々とリリースされる予定だが、これをひとまとめにしたものがJAX Packである。JAX Packには、
- JAXP(Core XML Processing、既にリリース済み)
- JAXB(XML Data Binding)
- JAXM(XML Messaging)
- JAXR(XML Registry Support)
- JAX-RPC(XML RPC Support)
といったAPI群が含まれ、今年秋には提供が開始される予定である。
また、Web Service PackはWeb Serviceの実現のために必要な機能をひとまとめにパッケージングしたもので、
- Tomcat(Apache用のJSPエンジン)
- JAXPack
- JavaServer Faces
- JSP Tag Library
- ドキュメント類
などが含まれる予定である。こちらも、秋にリリースされることになっている。
今回発表された新技術は、主にWeb Serviceを実現するために必要なサポートをJavaに組み込み、Javaを使ってWeb Serviceを実装できるように環境を整えようとするものが多い。Microsoftの.NET構想もそうだが、現在もっとも注目されているキーワードが“Web Service”だと言ってよいだろう。この新しい市場に向けて、これまで蓄積してきたJavaの強みを活かして「Web ServiceもJavaで実現しましょう」というのが今回のJavaOneの中核的なメッセージである、という見方もできるだろう。
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