BUSINESS CENTER / 導入事例 Case Study 1999年7月号
トヨタ自動車 Gazooセンター
SQL Server 7.0、FlashPixなどを活用し、顧客本位の情報商品提供を
1999年9月29日
Introduction
トヨタ自動車は、車両仕様の多様化や、車販売における顧客意識の変化のなか、同社の新車/中古車情報などを提供するサービスGazoo(ガズー)を1年前にスタート。SQL Server 7.0とLivePicture ImageServerを利用してシステムを構築し、高い可用性とスケーラビリティを維持したIISの運用のためにCisco LocalDirectorを導入している - SQL Server 7.0により運用の手間を軽減し、コンテンツ開発に注力
- FlashPixで、高画質で効果的な画像情報を低コストで提供
- 低価格のPC上のIISをLocalDirectorにより冗長構成にし、高いパフォーマンスを実現
トヨタ自動車株式会社
- 設立:1937年8月28日
- 本社:愛知県豊田市トヨタ町1番地
- 資本金:3785億円
- 売上高:9兆1047億円
- 従業員数:約7万1000人
トヨタ自動車は、豊田自動織機製作所の自動車部として1933年9月にその前身がスタート。同年12月に取締役会で自動車製造への進出が決定したあと、1937年8月トヨタ自動車工業が設立。1950年4月にトヨタ自動車販売が設立され、後の1982年7月に、トヨタ自動車工業とトヨタ自動車販売が合併し、現在のトヨタ自動車となった。300社を越える子会社・関連企業により、自動車および産業車両、輸送用機器やその部品の製造・販売をはじめ、住宅事業やマリン事業、情報通信事業を行なっている |
(アスキーNT/加賀)
最新情報をオンデマンドで提供するGazoo
トヨタ自動車が、顧客に対する情報提供として1998年4月にスタートさせたGazoo(ガズー)は、新車情報や中古車情報、見積り、カタログ請求、商談予約などの情報サービスに、ディーラーに設置した専用端末や、カー用品ショップや書店などの設置された端末、コンビニ端末のほか、インターネットを経由してアクセスできるものだ。 Gazooは、無料の会員向けサービスで、現在では20万人の会員を擁し、毎日500人の新規会員登録があるという。Gazooへのアクセスは月に60万ログイン、1000万ページビューに上る。 トヨタ自動車が、こうしたサービスを開始した背景の1つには、車両仕様の多様化や高い頻度のモデルチェンジとマイナーチェンジという現状がある。車種だけでもおよそ110車種、さらにさまざまなグレードや、メーカーオプション、ディラーオプション、色の組合せは、天文学的数字ともいえる選択肢を顧客に提示する。さらに、4日に1モデルともいえるペースのモデルチェンジやマイナーチェンジは、従来のメディアでは、新鮮な情報を提供していくことを困難にしている。また、「車販売におけるお客様の意識というのは、どんどん変化しており、自分で商品を選択し、自分で納得して買いたいという方が増えている」(友山氏)。という状況のなかで、従来からある訪問販売などへの嫌悪感を持つ顧客も増えているというのも、こうした情報提供手段の提供の契機となったという。 また、その効果も高く、Gazooを通してカタログ請求をしたユーザーの約10%以上が6カ月以内に成約しており、Gazooを通じた商談予約をした顧客の場合はさらに多くの成約率を持つという。とはいえ、まだまだ、従来の販売形態との比較では少なく、全体の1%に満たないのも事実である。Gazooではダイレクト販売を目指すのではないといい、「全国5500の拠点とサービス工場を投資してきたことが、ほかのメーカと違う点。それを活かすことが重要」とGazooセンター長の友山氏は強調する。
(アスキーNT/加賀)
Gazoo全体のシステム構成概要
Gazooの管理やWebサーバ、データベースが置かれているのが、トヨタ自動車名古屋ビル内のGazooセンターである。ここには、Gazooの会員情報を管理するデータベースサーバ、商品情報を管理するデータベースサーバがあり、いずれもNT Server 4.0上のSQL Server 7.0を採用している。  |
Gazooのシステム構成。イントラネットは、販売会社や関連会社、損保会社など専用のサービスプロバイダといった位置付けである |
Webベースのアクセスは、IIS 4.0で処理されている。ここでのアプリケーションは、すべてASP(Active Server Pages)により構築されている。「イントラネット」側のクライアントには、308の販社と各販社あたり約30〜100拠点程度の営業所を抱える「ディーラーネット」上のPCと、書店、カーショップなどのおよそ70台の専用端末からなる「エリアネット」、コンビニエンスストアに設置されたコンビニ端末などがある。 コンビニ端末は、各コンビニ所有の端末が利用されているため、すべてのデータはGazooセンター側で管理している。 ディーラーネットやエリアネットでは、会員情報と予約情報はGazooセンター側に、商品情報は必要に応じローカルのハードディスクに置くという構成を取っている。ローカルに置かれるデータは、ファイルコピーをスケジュール化することで、レプリケーションしている。 エリアネットの専用端末は、内部は一般のPCが入る構造になっており、NT Workstation 4.0で稼働している。通常のPCとの違いは、タッチスクリーンを持ったCRTディスプレイを搭載している点である。エリアネットやディーラネットの場合は、Visual Basicで開発された専用のクライアントソフトで構成され、ローカルのデータは、Accessのファイルとして置かれる。  |
書店やカーショップなどに設置された専用端末。内部にはNT Workstation 4.0が稼動するPCが入っている |
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専用端末用の画面。Visual Basicにより開発されている。FlashPixなどの画像はWeb版と共通のデータを利用している |
(アスキーNT/加賀)
SQL Server 7.0の採用で、より「感覚的に仕事」をこなす
Gazooにおいて顧客データや商品データなどを格納するのに現在利用しているのは、SQL Server 7.0である。7.0では、6.5に比べてパフォーマンスが向上したのはもちろん、ログファイルやメモリ、ディスクなどの管理を管理者がせずとも、ある程度自動的に運用を続けられるのがメリットである。 「ログの管理だとか、ハードディスクの容量とかメモリの管理だとか、そういうものを、一切やりたくないということで、7.0にすぐに移行しました。現場では、ユーザーインターフェイスの部分や仕組みに重点を置きたい。」と語るのは、Gazooの技術面を統括する藤原氏である。 「Gazooは、限りなく内製化しています。その理由は、自分達で作れて、直せるからどんどん改善が進み、マーケットに追従できるメリットです。そのため、エンジニアやサーバの管理者の育成期間が短くないといけないのですが、このシステムならちょっと知識があれば3カ月くらいあれば、自分でサーバをいじり始められる。たくさんエンジニアができれば、どんどんコンテンツを増やしていけるわけです。エンジニア、企画者、導入指導、メインテナンスまでを兼務する『多能工』」と友山氏は語る。 単にプログラムが書けるだけの技術者が開発するのではなく、企画の内容やユーザーにとっての使いやすさを考えた開発に主眼が置かれているという。
(アスキーNT/加賀)
LocalDirectorによるサーバファームの負荷分散
Gazooでは、IISを運用するNT Serverを当初1台のPCサーバで運用していた。このPCは、可用性とパフォーマンスを高めるために、SMP構成とし、RAIDによるディスクの冗長化を行なっていた。現在は、インターネット用およびイントラネット用にそれぞれ4台のシングルCPUのPCを用意し、それらをCisco SystemsのLocalDirector で、仮想的に1台のWebサーバとして見せる形で負荷分散を行なっている。  |
Gazooセンターのサーバ群。SQL Server 7.0で構成される顧客データベースや商品情報データベースなど |
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インターネット用とイントラネット用に4台ずつのWebサーバが利用されている |
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Webサーバの負荷分散に利用されているCiscoSystems(http://www.cosco.com/jp/)のLocalDirector |
LocalDirectorは、NAT(Network Address Translation)によって、TCPのトラフィックを各サーバに分散させる製品である。サーバ間のコネクションの振り分けは、各サーバのレスポンス測定に基づいて行なわれ、高いパフォーマンスを持つサーバから順次振り分けられていく。サーバがダウンした場合、レスポンスタイムは無限大となり、ほかのサーバにコネクションが振り分けられる。それゆえサーバのメインテナンスも容易である。 これによって、サーバの能力が不足した時でも、単純にサーバをパワーのあるものにリプレイスするのではなく、新しくサーバを追加することでスケーラビリティを確保することが可能である。 PC個々のパフォーマンスは従来に比べて低いものの、全体としてはより高い性能が得られたという。Gazooセンターでの評価の中では、IISは処理するセッションの数がある一定数を越えると、システムの安定度が落ち、それを越えなければ安定動作するという感覚を得ている。現に、LocalDirector導入後はそれぞれのIISへの負荷が抑えられていることもあり、順調に稼働しつづけているという。 その導入のメリットついて、藤原氏は「分散してから気が付いたのですが、分散したらIISはものすごく速くなるんです。回線を太くしたわけもなく、かといって、前は回線にストレスがかかっていたわけでもないし、IISを動かしているPCのCPUも負荷が上がっていたわけでもない。分散しただけなのにパフォーマンスが上がった。体感すると誰にでもわかるという違いがある。」と語る。
(アスキーNT/加賀)
FlashPixによる低コストで効果的なユーザー体験
FlashPixは、Live Picture社 がHewlett_Packard、Eastman Kodak、Microsoftと共同で開発した画像フォーマットで、タイル形式のデータ構造を持ち、画像データ中の必要な箇所のみを、必要な解像度で取得できるのが特徴である。Live Picture社のLive Picture Image Serverは、専用のプラグインやJavaアプレットであるLive Picture Viewerによって、ユーザーがインタラクティブに画像の見たい場所をズームしたりする環境を提供するものだが、IIP(Internet Imaging Protocol)によって、新しく表示する部分のみを効率よく転送できる。プラグインが不要なUniversal Viewingというサーバ側で必要なJPEG画像をレンダリングする方法を情報提供者側で選択することもできる。 また、Image ServerではAppleのQuickTime VRのような3Dのパノラマ写真を提供することができる。さらに、パノラマ中に、FlashPix画像や3Dオブジェクトを張り込むことも可能である。 Gazooでは、FlashPixを「バーチャルショールーム」 中で、好みの車の内装の写真をパノラマ画面で見られるようにしたり、車の外観やエンジンを回転して見られるようにするのに利用している。  |
インターネット版Gazooのバーチャルショールームの画面。FlashPixによるパノラマ画像で車内を180度見渡せる。URLはhttp://gazoo.tns.ne.jp/ |
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FlashPixでは見たいところの画像のみを拡大して表示できる。サンバイザーの注意書きも十分判読可能。FlashPixについての詳細はライブピクチャージャパン(http://www.livepicture.co.jp/)を参照 |
FlashPix導入の決め手は、「通常のWeb上の画像より、より画質のよいものを見たいという要望に応えるためと、ディーラネットとインターネットで同じ技術が使える」ことだという。 当初は、CADデータを元に3DのCGを起こすことも検討されたというが、実際に出来上がる画像は「『絵』のように見えてしまい、実感がない」。さらに2カ月程度の制作期間が必要であり、発表会当日に新車情報を必ずアップデートするGazooには到底間に合わない。そのうえ、コストも1000万円以上と高く、非現実的だ。 そこで、導入されたのがFlashPixというわけだ。FlashPixのパノラマ画像や3Dオブジェクト画像は、専用の画像作成ソフト「Live Picture Reality Studio」を利用し、平面の写真を何枚か組み合わせて作成される。「写真だから実感があり、質感もでる。顧客からも好評」だという。 Gazooで使われているFlashPix画像は、カタログのための撮影作業の際に一緒に撮影を行ない、FlashPix化の作業も内部のスタッフが行なう。当初は色の調整や、複数の写真を繋ぐステッチングの作業などいろいろ苦労したというが、そうしたノウハウも実作業の中で蓄積され、現在では、FlashPix化の作業も、撮影完了後1週間程度、実質50時間程度という。 当初は、FlashPixのパノラマ画像による「バーチャルなショールーム」の中に複数の3Dオブジェクトの車が置かれ、ユーザーがその中を歩いて、目的の車を拡大したり回転して見られるようにすることも考え、実際に制作をしてみたという。しかし、動作が重くなってしまううえ、顧客は「ヴィッツならヴィッツを見たい」という目的を持っている点を重視して採用はしなかったそうだ。「たしかに、そうすれば、楽しいことは楽しいが、『それがどうした』ということでしかない。『技』を見せているだけで、中身はないというのでは意味がない」(友山氏)という。  |
好みの色の車やオプションを選んで価格情報などを参照できる。カタログ請求や、最寄りの販売店での商談予約、見積もりなども可能 |
(アスキーNT/加賀)
あくまで顧客を向いたコンテンツ提供
この取材を通して感じたのは、とかく陥りがちな、技術者や制作者の自己満足ともいえる技術指向のコンテンツ制作ではなく、Gazooでは、あくまで顧客メインのコンテンツ提供という目的に向かって、最短距離で開発や運用を行なっているという印象である。  |
トヨタ自動車国内業務部 Gazooセンター長 友山茂樹氏 |
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トヨタ自動車国内業務部 藤原靖久氏 |
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(アスキーNT/加賀)
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